2004/11/08

水酸化カルシウム あるいは 農薬落とし のこと

「農薬おとし」フレッシュキープのことを尋ねられた。「知らないなあ」、で少し調べてみました。

ホッキ貝の貝殻を焼成した物らしいです。食材の洗浄剤・農薬おとし「フレッシュキープ」として色々効能が書いてありました。

同じサイトのfaqにより詳しく書いてありました。

焼成した後の生成物はCaO(酸化カルシウム)で言うところの生石灰です。 ですから、牡蠣由来であろうがホッキ貝由来であろうが効果は殆ど差がないと思われます。 水に触れるとCao+H2O→Ca(OH)2で水酸化カルシウムになります。 上記サイトによると1グラムを水に溶かすとPH12の溶液になるとされています(水の量は記載がない) この数値が事実であるならば強アルカリといっても良い数値です。若い頃にグランドに引いた白線の材料ですね。

ご存じのように、アルカリの水溶液はタンパク質を溶かします。セルロースも溶かします。また脂質を乳化・鹸化します。 農薬の多くはアルカリ製剤との混合は不可であり、アルカリ製剤があることによって加水分解が加速されるようです。
秋田県病害虫防除所農薬の分類に多くの農薬がアルカリ性剤との混用はできないことが記載されています。

従って、アルカリ溶液に浸けることによって農薬等が分解或いは展着剤の分解によって分離することが期待出来ます。

水酸化カルシウムが野菜等に残留することによって細菌等の増殖することも期待出来ると思います。 従って効能そのものはそう大きく誇大であるとは言えないと思います。

問題点を挙げます。

例えば、

以上のことから、こういったことを掲載しての効能の紹介は消費者を誤誘導するための物と言わざるを得ません。

消石灰であれば薬品としての消石灰を薬局で買えばいいことなのです。 これは、ホッキ貝に限らず、貝殻は産業廃棄物として処理に困っているところへの一つの処理方法として開発されたようです。

また、農薬についても過大にその害を喧伝しているように見えます。是非 農薬の話のサイトへお出かけ下さい。

農薬などの使用が今に比べて少なかった過去に比して、戦後一貫して日本人の平均余命(厚生労働省に依る資料)が伸び続けたことを考えて下さい。確かに農薬を使わないことは健康によいかも知れません。が、その効果が我々の生命にどの程度の影響が出るのかは余り判然としません。それは、今の技術でも有意の差が測定出来ないくらいでは無いのかと思えます。 環境ホルモンにしても、このごろようやく幾らか詳しく判ってきたようです。 (市民のための環境学ガイド解説

不用意に有害物質に触れることは避けなければなりませんが、過大に恐れることもまた杞憂の譏りを免れる物ではないと思います。

追記

水商売ウォッチングゲストブック兼掲示板にうまい表現があった。専門家は違う。

曰く

[20504] 発色はpHに依存することがある

ID = 7cc0b0bbb6bbd3b997d75c1f4a3ecf07 ( 21e6c7e0285b95d07ffc7295c5524620

)

apj のコメント: 2006-06-05 10:50 :

これは還元水の宣伝で頻出するお茶の例。

http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/appendix/faq3.html

色素を持っている野菜に少しキズがついていれば、そこから出てきた色素の色が、水がアルカリ性であることによって変わることがある。

重曹水で洗っても同じ効果なら、それは単にpHの違いによるもので、農薬云々とは無関係。

重曹水との比較なしにこの手のことを主張しているなら、そこにはだましが入っている。