本年からここに【境内撮影禁止】を明示しました。
なぜ撮影禁止なのか
本来撮影してはいけない物などがあるとは思えません。あるとすれば、個人のプライバシーに関わる物、あるいは画像を撮ること自体が著作権の侵害に当たる物、または害を与える場合などでしょう。 庭や建物には人格はありませんし、著作権も発生しません。開善寺でも何の制約もなく撮影が出来ていたのです。
以前はカメラを操るにはある程度のスキルが要求され、印画紙に落とすのも手間暇が掛かりました。またカメラ自体も幾分か高価な物でした。 しかしここに来てカメラがデジタル化され価格も下がり,大勢の方がカメラを手にできるようになりました。この文章を書いている私自身が40年以上前に一台のカメラを購入し、 その後改めて手にしたカメラがデジタルカメラでした。その間フィルムカメラは買えませんでした。
カメラのユーザーが増えたことが良いことであるのは間違いがありません。世に起こる事件、また季節季節に咲く花の美しい画像など、プロだけが撮る時代には見られなかった画像を見ることが出来るようになりました。
しかし思いも寄らないことも起こったのです。良い画像を撮りたい思いから、位置・角度を選ぶばかりに一歩を踏み出す事が目に付くようになりました。鉄道ファンに於ける「撮り鉄」が決して好意的だけの言い回しでないことと同様です。 その結果柵の中への入り込みが目立つようになりました。シャクナゲ・ボタンなどは植わっている地面の通気性が生育の第一条件です。コケも歩けば間違いなく無くなってしまいます。
花にレンズを近づけて撮影したい気持ちは十分に理解できます。しかしそれは決して植物には良い結果をもたらさないと思います。
また三脚などを使用すれば、狭い通路はふさがってしまいます。ふさがれば三脚を避けて一歩を踏み込まないと通れなくなります。
撮影しても、減りも増えもしないですが
以前日本画を描かれる団体がボタン園の株の間に入ったことがありました。「結構ですよ」とはいった物の、中に入られることは想定外でした。 その場で注意すれば良いのでしょうが、小心者故注意すること自体が非常に言いづらく、気まずい物なのです。 同じ理由で、京都辺りでも撮影禁止の寺院が増えてきています。私自身も撮影くらいは気楽に行いたいのです。実際はそうでも無くなってきたのが現実のようです。
「以前はそう云うことがなかったのに」とは思えません。以前にも同様のことがありました。最近の日本人が質を落としたわけではないのです。 ただ、数が少なかった。今は単にカメラユーザーが増え、目立つ行為をするものも増えたと言うことだけなのでしょう。 web上にも開善寺の画像で、「いったい何処から撮ったんだ」という画像も見られます。普段入れないところからの画像なのです。どうぞカメラユーザーは自制心をお持ち下さい。
境内の撮影を禁止していない
先に書いたように、建物や植物の撮影を禁止することは順当ではないのです。しかしどのような手段でも良いわけではないのです。入ること自体が真っ当でない場所での撮影は行うべきではありません。 登山などでの高山植物も登山道を外れての撮影はやってはならないのと同様です。ここでは撮影の仕方(マナー)に個別に意を注ぐことが出来ません。一律に「境内での撮影を禁止」することとなりました。 そうせざるを得なくなったことが残念です。撮影することに我々が馴染み普通に撮って何の問題も無くなる時が来ることを願って止みません。
どうぞ「境内の撮影を禁止」なのではなく「境内での撮影を禁止」であることのご理解をお願い致します。