津葬(しんそう)

瑞龍僧堂師家 清田保南

昨日は建仁寺前管長湊素堂猊下の葬儀へ出掛けた。

30年前、私が初めて住職したお寺が、当時、建長寺管長だった素堂老師の兼務しておられた寺だったと言うのが、そもそもご縁の始まりであった。

会下(えか)でもないのに、格別ご法愛を頂き、有り難かった。当時老師は怒ると、雲水には必ず頭突きをくらわせたものだが、ある時師匠の逸外老師のことで怒って、総門前でいきなり得意の頭突きを頂戴する羽目になった。こちらにしてみればとばっちりみたいなものだが、あっ、これが素堂老師なのだと直感した。

頭突きのいわれは、大好きだったプロレスの大木金太郎の得意技から学んだと言うことである。スキンシップが老師の得意技だから、フィーリングがぴたっとあったのだろう。

昨日の新聞で偶然その大木金太郎が亡くなったと言う記事を読んだ。それにしても痛い思い出である。