三浦哲郎氏が亡くなられた。忍ぶ川を読んだのは文庫本になってから。それから同じ著者の作品が文庫本になるたびに買っていた。
いくつかの場面が、忘れられない。志乃さんが箸袋に走り書きしたのを手渡す場面、雪が残る八戸の駅へ主人公を迎えに行った時に、和服で長靴を履き裾を端折った自分の格好を「へんな格好」と言った場面。八戸などの地名もその時知った。いや太宰の津軽にもその地名は出ていたような気がするが、そちらは記憶に残らなかったのか。
氏は作品を「小説」ではなく「物語」と作品の中で言っていた。それは一つの世界を作り上げるということなのだ、と勝手に思っていた。私小説家と言われたが私小説には収まらなかった。文庫版忍ぶ川の解説は奥野健夫氏がされていたんだっけか。
買った文庫版もどこかに在るはずだが探せない。買ってきてもう一度読みたくなった。
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2008/4/22 〜 |