宮沢賢治の作品に貝の火というのがあります。ホモイ本人が思っている「いいこと」をしようとして、狐に煽られた揚げ句に貝の火を失い、ホモイ自身は盲目になってしまうお話です。ホモイの父が「泣くな。こんなことはどこにもあるのだ。それをよくわかったお前は、いちばんさいわいなのだ。目はきっとまたよくなる。お父さんがよくしてやるから。な。泣くな」というところでお終いになります。子供の頃に読んだ私は気味悪くこの話を受け入れられませんでした。小学校2-3年の頃です。(挿絵も結構気味悪かった)
ホモイは無垢なのですが、そのことと善悪とはまた別の話なのでしょう。
知り合いがフォーエバーリビングプロダクツ ジャパンの製品を強く薦められています。Wikipediaではアロエベラ製品をはじめとするいわゆる健康食品や化粧品等を商材としている連鎖販売取引(マルチ商法)企業であると紹介されています。アロエの加工品が主力商材のようです。アロエの葉は切り口をなめると苦く、「刺されたらアロエの茎を切って塗ると治るよ」とミツバチ係の先輩に言われ、実際眉の上を刺されたときに塗ったのですが、全く効果が無く貴重な夏休みをお岩さん状態になった苦い想い出があります。良薬は口に苦いかもしれませんが、苦いからと言って良薬とは限らないことを思い知ったのです。あぁあれから40 数年がたってしまった。
薦めた方は「私はこの製品のおかげでこんなに健康になった」「是非あなたもこの幸せを」。そんなに効果があるのなら是非健康保険適用にしてしていただき、医師による処方の元で使いたいものです。要するに「売り言葉」なのでしょうがあまり成功せず知り合いにはかえって不信感を抱かせたようです。
NHK の お茶礼讃の番組もそうですが「魔法の食べ物」を推奨する話はどこにでもあり、また私たちはその手の話に興味を惹かれはします。実際白米食による脚気の治療には「麦飯」は効果覿面なのです。これはそのときの医師達が必死に調べ,激論を交わしその結果判明したことでして、決して「私は元気になりました」などのナイーブなものではないのです。
さて、どうやって断ろう。知人にとっては薦めた方は親しい方で人間関係を壊したくないとのことで、これは難しい。
要するにいらないものはいらないのですが、うまい断り口上は無いものでしょうか。
進めた人は悪意はない(と思いたい)が不善を為すという点で、貝の火を思い出しました。それと同時に読んだ時の気味悪さも思い出し、なんで忘れないのかとそのことにも驚きました。幼かった純真な頃が懐かしい。(そう云う時があったのか?在ったように思っているだけではないですか…)
today | |
yesterday | |
total | |
2008/4/22 〜 |